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「Metallica: Fuel. Fire. Fury.」の制作に、フォートナイトの UEFN がどのように使用されたのかをご紹介します。
フォートナイト チーム
「Metallica: Fuel. Fire. Fury.」は、現実のスタジアム コンサートの雰囲気と幻想的な VFX を融合した、ハードロック界の巨人 Metallica の世界に誘うフォートナイト体験です。
この体験は、Magnopus と Harmonix により同バンドと協力して制作されました。「For Whom the Bell Tolls」、「Enter the Sandman」、「Master of Puppets」など、Metallica の最も有名な 5 つの曲の旅にプレイヤーを誘います。
「Metallica: Fuel. Fire. Fury.」は、単なるバーチャル コンサートを超えたものとなっています。
各曲には、音楽のビートに合わせて特別にデザインされた、プレイヤーがプレイできるユニークなシーンが用意されており、フォートナイト史上最も野心的な音楽体験の 1 つとなっています。
「Fuel. Fire. Fury.」は、誰でも今すぐダウンロード可能な UEFN のライブ バージョンで開発されました。したがって、二重の意味で印象的な作品となっています。
Magnopus のクリエイティブ ディレクター Dan Taylor 氏は、「UEFN の一般公開バージョンで、この体験全体を作成しました。最新の豪華なビルドなどは使用していません。皆さんが誰でもアクセスできるツールのみを使用しました」と語ります。
この記事では、「Fuel. Fire. Fury.」をリリースする際にチームが発見した UEFN の利点、イテレーションとライブ プレイテストがもたらしたプロジェクトにおけるゲームの改善点、メモリの制約内で壮大な体験を実現するために Magnopus と Harmonix が採用したトリックなどについて詳しく説明します。
世界的に有名なアーティストとの仕事に慣れている会社にとっても、Metallica との共演は一大イベントでした。同社のグローバル イノベーション ディレクター Sol Rogers 氏は、「この会社の全員が、この作品に携わりたがっていました」と言います。
音楽ゲーム スタジオの Harmonix (Epic Games 傘下) では、メンバーはプロジェクトに胸を高鳴らす一方で、不安も感じていました。既存のファンを良い意味で驚かせるだけでなく、新しいファンに Metallica を広める責任も負っていたためです。
Epic の Harmonix チームのクリエイティブ ディレクター Helen McWilliams 氏は、「Harmonix を会社として設立して以来ずっと、Metallica とゲームを作りたいと思っていました。 私たち全員が、絶対に良い物を作りたいと考えていたのです」と語ります。
Magnopus はこれまで、さまざまな壮大な没入型プロジェクトで Unreal Engine を使用してきました。しかし、「Fuel.Fire. Fury.」については、フォートナイトの何百万人もの巨大なオーディエンスに直接的な体験を提供するため、UEFN で開発を行うことにしました。
UEFN のライブ環境における共同作業には、さまざまな利点があります。従来のゲーム開発では、チーム メンバーは作業しているときに孤立感を覚えることがしばしばありました。しかし、UEFN では違います。
プロジェクトの初期段階から、ライブ環境に出入りしながらチームメンバーと一緒にイテレーションが行えるためです。Magnopus のエグゼクティブ クリエイティブ ディレクター Daryl Atkins 氏は、「チーム全員で素晴らしい共同作業が行えるようになりました。毎日 UEFN 内で集まり、シーケンスを再生し、リアルタイムでイテレーションして調整しました。こうしたフィードバック ループによる効果は、驚くべきものでした」と語ります。
仕事がより楽しく協力しやすい環境になっただけではありませんでした。チームでは、この開発アプローチが創造的なアイデア創出プロセスに驚くべき効果があることもわかりました。McWilliams 氏は、「UEFN の素晴らしい点の 1 つは、素早くアイデアを生み出せることです。 アイデアを思いついてからそれをビルドに組み込むまでのプロセスを、とても迅速に進めることができます。空いた時間で、いろいろな試行錯誤ができました」と語ります。
プロジェクトのスコープが広いことが明確になると、アイデアを迅速にテストしてイテレーションできるかどうかが最も重要となりました。
各セクションに独自のアート スタイルとゲームプレイ要素がある「Fuel. Fire. Fury.」は、実質的に 5 つの異なる体験を 1 つにまとめています。カー レースからリズム ベースのゲームプレイまで、さまざまな要素が融合しています。
チームでは、さまざまな環境を考え出すだけでなく、曲ごとにカスタマイズされたゲームプレイ要素をビルドし、それらを体験にうまく融合させる方法を見つける必要がありました。
音楽とゲームプレイの適切なバランスをとることが重要だからです。チームは、プレイヤーが気を散らさずに楽しくプレイできるように、セクションを慎重に設計しました。そうすることで、プレイヤーがいつでも音楽を楽しめるような余裕を持てるようにしたいと考えたのです。
そうした事情により、曲の重要な要素について考え、ゲームプレイや UEFN で利用できるツールを通じて曲の雰囲気を伝える方法を考え出すのに、多くの時間を費やしました。たとえば、オープニング セクションでは、力強いリフとエネルギッシュで疾走感のあるビートが、火山の世界を駆け抜ける高速カー チェイスへと変化します。
McWilliams 氏は、「これらの曲のいくつかを要素にまで抽出し、それを再構築して別世界のような体験に仕上げましたが、本当に楽しい作業でした」と語ります。
このようなインタラクティブ性を実現するために、チームでは Metallica の曲の音楽要素を分解し、ゲームプレイに活用しました。Unreal Engine 5 (UE5) でビートマップ グリッドを作成し、それを UEFN に移植することで、全体の体験を操作しました。
Atkins 氏は、「VFX やライティングからアニメーションまで、すべての部門にとって素晴らしいツールでした。確実かつ完璧な形で、あらゆるものを音楽と密接に結びつけることができました。ゲームプレイ イベント、視覚効果、オーディオ キューを、ビートマップ グリッドに同期させることが可能です」と語ります。
ビートマップを使用することにより、「Lux Æterna」の一斉に噴出する火山の間欠泉から「For Whom the Bell Tolls」の完璧なタイミングで鳴る鐘まで、音楽のビートに合わせて動作するゲームプレイを実現できました。
こうした細かいディテールは、視覚的な効果を改善しただけではなく、ゲームプレイにおいてもリズム感を強化するのに役立ちました。
チームにおけるもう 1 つの重要なツールは、UEFN のマルチトラック エディタ、シーケンサーでした。「Fuel. Fire. Fury.」はほぼリニアな体験であることから、コンテンツを操作してすべてを同期し、適切なタイミングで適切なイベントが再生されるようにするのに、シーケンサーが使用されました。
Magnopus の主任エンジニア Ross Beardsall 氏は、「シーケンサーはこのプロジェクトにとって本当に救世主でした。これにより、体験全体の可能性を引き出すことができました」と語ります。
「Master of Puppets」セクションで発生するボス戦のゲームプレイがその好例です。
Taylor 氏は、「Master of Puppets のボス戦で気に入っているのは、音楽に合わせてクールなイベントがたくさん発生することです。彼の攻撃が音楽に同期しているだけでなく、稲妻がギターのリフに合わせて発射され、彼の目がビートに合わせて光るのです」と語ります。
そのため、プレイ中にさまざまなデータ レイヤーをロードする巧妙なデータ ストリーミング技術を導入し、体験が常に最大メモリ レベルで実行されるようにしました。
Beardsall 氏は、「各セクションのすべてのコンテンツを、UEFN でオン ザ フライでストリーミングできる個別のデータ レイヤーに関連付けました。これにより、各セクションで豊富な体験を実現でき、すべてを固定メモリ オーバーヘッドに詰め込まなくても済むようになりました」と言います。
エンジニアたちが UEFN のメモリ システムを最大限に活用しようと懸命に作業する一方で、プロジェクトのクリエイティブ ディレクターたちはビジュアルとゲームプレイ デザインの限界に挑戦していました。皆が常に、視覚的に素晴らしいものを作ることができるという自信を持っていたためです。
Taylor 氏は、「UEFN で開発する場合の面白い点は、Unreal の完全なグラフィックス パイプラインがあることから素晴らしい外観を実現できるということです。フォートナイトのゲームプレイ要素を取り入れ、革新的な方法で調整することで、それが可能となります」と語ります。
Verse が、これらの革新的なインタラクションの構築に不可欠であることがわかりました。チームはプログラミング言語を広範に使用して、UEFN ですぐに使用可能なゲームプレイ要素をつなぎ合わせました。
たとえば、「Master of Puppets」セクションでは、プレイヤーは音楽に合わせて 6 つの光のレールを滑らなければなりません。Verse は、プレイヤーがグラインドする場所の記録に使用されました。これを用いて、間違ったグラインドに対しては特定の VFX をトリガーし、正しいグラインドに対しては栄誉を与えるようなシステムにしました。
また、プレイヤーが驚くような要素を加えるために、Unreal の Niagara ビジュアル エフェクト システムが大いに活用されました。これにより、現実のコンサートでは実現できないようなエフェクトが作成されました。
Rogers 氏は、「音楽業界のクライアントと仕事をする場合、ステージ ショーを再現したいと言われることが多いのですが、私たちはそれ以上のものを打診します。現実世界のショーは、安全と健康に配慮したものでなくてはなりません。しかし、私たちが作るものにその心配はありません。必要に応じて、Niagara のツールをすべて 11 まで上げて、火を浴びるようなシーンを作ることもできます。水中にいるシーンや、宇宙を漂うシーンも作れます。アーティストと協力して、彼らに新しいツールセットとアイデアを打診できるときは、とてもやりがいを感じます」と語ります。
運転、火の玉、落雷から講堂を貫く立体的な光の柱まで、体験全体を通して Niagara が多用されています。
Atkins 氏は、「音楽体験をプロデュースする上で、Niagara はシーケンサーと並んでおそらく最も重要なツールだと言えます。Niagara を使用すると、コンサートにおける体験の核となるエフェクトと大仕掛けに関して、非常に多くのものを実現できるからです」と語ります。
Beardsall 氏のようにエンジニアリング側で働いている人にとって、UEFN でのプレイテストは驚くほど簡単でした。あらゆるものがすぐに使える状態にあり、即座に作業に移れたからです。
「UEFN で最も楽だと感じたことの 1 つは、サーバー インフラストラクチャをセットアップする必要がなかった点です。数十億人のユーザーによって実戦テストされた Epic のあらゆるものが、そのまま使用できました」と彼は語ります。
さらに、フォートナイトはさまざまなデバイスで動作するように最適化されていることから、異なるハードウェアでテストするのも簡単でした。
Atkins 氏は、「UEFN では、これらすべての異なるプラットフォームをプレビューすることができます。そのため、さまざまなデバイスでどのように表示されるかをすぐに把握できました。くわえて、すぐにデプロイできるのでハードウェア自体でもテストできました。これにより、さまざまなターゲット プラットフォームで機能がどのように見えるかをテストするための非常に密接なフィードバック ループを行うことができました」と語ります。
彼は、アーティストがこれらの体験を利用して、オーディエンスを自分たちの歌やアイデアの世界に導くような未来を思い描いています。「私にとっては、コンサートの体験を実現するだけでなく、アーティストが新しい表現方法だと感じられるような体験をどのように作り出すかを考えることが、このプロジェクトの最もやりがいのある部分です」と彼は言います。
彼は、音楽やビジュアルの創作と操作に使用する UEFN の Patchwork 仕掛けスイートにより、アーティストがこれらの体験を自ら作成できるようになると強調しています。
これには、McWilliams 氏も同意しています。彼女は、「Fuel. Fire. Fury.」がアーティストたちにバーチャル コンサートに挑戦するきっかけを与え、まったく異なるタイプの体験をもたらすと期待しています。
「このプロジェクトの大きな目標の 1 つは、人々にインスピレーションを与え、UEFN を使って何ができるかを示すことでした。バンドやアーティスト、個人が皆のために独自のコンテンツを作れるような世界になれば良いな、と考えています」と、彼女は語ります。
この体験は、Magnopus と Harmonix により同バンドと協力して制作されました。「For Whom the Bell Tolls」、「Enter the Sandman」、「Master of Puppets」など、Metallica の最も有名な 5 つの曲の旅にプレイヤーを誘います。
「Metallica: Fuel. Fire. Fury.」は、単なるバーチャル コンサートを超えたものとなっています。
各曲には、音楽のビートに合わせて特別にデザインされた、プレイヤーがプレイできるユニークなシーンが用意されており、フォートナイト史上最も野心的な音楽体験の 1 つとなっています。
「Fuel. Fire. Fury.」は、誰でも今すぐダウンロード可能な UEFN のライブ バージョンで開発されました。したがって、二重の意味で印象的な作品となっています。
Magnopus のクリエイティブ ディレクター Dan Taylor 氏は、「UEFN の一般公開バージョンで、この体験全体を作成しました。最新の豪華なビルドなどは使用していません。皆さんが誰でもアクセスできるツールのみを使用しました」と語ります。
この記事では、「Fuel. Fire. Fury.」をリリースする際にチームが発見した UEFN の利点、イテレーションとライブ プレイテストがもたらしたプロジェクトにおけるゲームの改善点、メモリの制約内で壮大な体験を実現するために Magnopus と Harmonix が採用したトリックなどについて詳しく説明します。
UEFN との共同イテレーション
Magnopus は、「胸がときめく」ような没入型体験を生み出す、クリエイティブ テクノロジー スタジオです。同スタジオは、マンダロリアンやフォールアウトといった番組のバーチャル プロダクションから、NASA との VR プロジェクトまで多岐にわたる作品をリリースしています。世界的に有名なアーティストとの仕事に慣れている会社にとっても、Metallica との共演は一大イベントでした。同社のグローバル イノベーション ディレクター Sol Rogers 氏は、「この会社の全員が、この作品に携わりたがっていました」と言います。
音楽ゲーム スタジオの Harmonix (Epic Games 傘下) では、メンバーはプロジェクトに胸を高鳴らす一方で、不安も感じていました。既存のファンを良い意味で驚かせるだけでなく、新しいファンに Metallica を広める責任も負っていたためです。
Epic の Harmonix チームのクリエイティブ ディレクター Helen McWilliams 氏は、「Harmonix を会社として設立して以来ずっと、Metallica とゲームを作りたいと思っていました。 私たち全員が、絶対に良い物を作りたいと考えていたのです」と語ります。
Magnopus はこれまで、さまざまな壮大な没入型プロジェクトで Unreal Engine を使用してきました。しかし、「Fuel.Fire. Fury.」については、フォートナイトの何百万人もの巨大なオーディエンスに直接的な体験を提供するため、UEFN で開発を行うことにしました。
UEFN のライブ環境における共同作業には、さまざまな利点があります。従来のゲーム開発では、チーム メンバーは作業しているときに孤立感を覚えることがしばしばありました。しかし、UEFN では違います。
プロジェクトの初期段階から、ライブ環境に出入りしながらチームメンバーと一緒にイテレーションが行えるためです。Magnopus のエグゼクティブ クリエイティブ ディレクター Daryl Atkins 氏は、「チーム全員で素晴らしい共同作業が行えるようになりました。毎日 UEFN 内で集まり、シーケンスを再生し、リアルタイムでイテレーションして調整しました。こうしたフィードバック ループによる効果は、驚くべきものでした」と語ります。
仕事がより楽しく協力しやすい環境になっただけではありませんでした。チームでは、この開発アプローチが創造的なアイデア創出プロセスに驚くべき効果があることもわかりました。McWilliams 氏は、「UEFN の素晴らしい点の 1 つは、素早くアイデアを生み出せることです。 アイデアを思いついてからそれをビルドに組み込むまでのプロセスを、とても迅速に進めることができます。空いた時間で、いろいろな試行錯誤ができました」と語ります。
プロジェクトのスコープが広いことが明確になると、アイデアを迅速にテストしてイテレーションできるかどうかが最も重要となりました。
各セクションに独自のアート スタイルとゲームプレイ要素がある「Fuel. Fire. Fury.」は、実質的に 5 つの異なる体験を 1 つにまとめています。カー レースからリズム ベースのゲームプレイまで、さまざまな要素が融合しています。
チームでは、さまざまな環境を考え出すだけでなく、曲ごとにカスタマイズされたゲームプレイ要素をビルドし、それらを体験にうまく融合させる方法を見つける必要がありました。
音楽とゲームプレイの適切なバランスをとることが重要だからです。チームは、プレイヤーが気を散らさずに楽しくプレイできるように、セクションを慎重に設計しました。そうすることで、プレイヤーがいつでも音楽を楽しめるような余裕を持てるようにしたいと考えたのです。
そうした事情により、曲の重要な要素について考え、ゲームプレイや UEFN で利用できるツールを通じて曲の雰囲気を伝える方法を考え出すのに、多くの時間を費やしました。たとえば、オープニング セクションでは、力強いリフとエネルギッシュで疾走感のあるビートが、火山の世界を駆け抜ける高速カー チェイスへと変化します。
McWilliams 氏は、「これらの曲のいくつかを要素にまで抽出し、それを再構築して別世界のような体験に仕上げましたが、本当に楽しい作業でした」と語ります。
このようなインタラクティブ性を実現するために、チームでは Metallica の曲の音楽要素を分解し、ゲームプレイに活用しました。Unreal Engine 5 (UE5) でビートマップ グリッドを作成し、それを UEFN に移植することで、全体の体験を操作しました。
Atkins 氏は、「VFX やライティングからアニメーションまで、すべての部門にとって素晴らしいツールでした。確実かつ完璧な形で、あらゆるものを音楽と密接に結びつけることができました。ゲームプレイ イベント、視覚効果、オーディオ キューを、ビートマップ グリッドに同期させることが可能です」と語ります。
ビートマップを使用することにより、「Lux Æterna」の一斉に噴出する火山の間欠泉から「For Whom the Bell Tolls」の完璧なタイミングで鳴る鐘まで、音楽のビートに合わせて動作するゲームプレイを実現できました。
こうした細かいディテールは、視覚的な効果を改善しただけではなく、ゲームプレイにおいてもリズム感を強化するのに役立ちました。
チームにおけるもう 1 つの重要なツールは、UEFN のマルチトラック エディタ、シーケンサーでした。「Fuel. Fire. Fury.」はほぼリニアな体験であることから、コンテンツを操作してすべてを同期し、適切なタイミングで適切なイベントが再生されるようにするのに、シーケンサーが使用されました。
Magnopus の主任エンジニア Ross Beardsall 氏は、「シーケンサーはこのプロジェクトにとって本当に救世主でした。これにより、体験全体の可能性を引き出すことができました」と語ります。
「Master of Puppets」セクションで発生するボス戦のゲームプレイがその好例です。
Taylor 氏は、「Master of Puppets のボス戦で気に入っているのは、音楽に合わせてクールなイベントがたくさん発生することです。彼の攻撃が音楽に同期しているだけでなく、稲妻がギターのリフに合わせて発射され、彼の目がビートに合わせて光るのです」と語ります。
データ ストリーミングによるメモリ制約の処理
「Fuel. Fire. Fury.」のすべてのトラックに独特な雰囲気と個性を与えるために、チームはフォートナイトの島におけるメモリ制限内で実現可能なことの限界を押し広げる必要がありました。そのため、プレイ中にさまざまなデータ レイヤーをロードする巧妙なデータ ストリーミング技術を導入し、体験が常に最大メモリ レベルで実行されるようにしました。
Beardsall 氏は、「各セクションのすべてのコンテンツを、UEFN でオン ザ フライでストリーミングできる個別のデータ レイヤーに関連付けました。これにより、各セクションで豊富な体験を実現でき、すべてを固定メモリ オーバーヘッドに詰め込まなくても済むようになりました」と言います。
エンジニアたちが UEFN のメモリ システムを最大限に活用しようと懸命に作業する一方で、プロジェクトのクリエイティブ ディレクターたちはビジュアルとゲームプレイ デザインの限界に挑戦していました。皆が常に、視覚的に素晴らしいものを作ることができるという自信を持っていたためです。
Taylor 氏は、「UEFN で開発する場合の面白い点は、Unreal の完全なグラフィックス パイプラインがあることから素晴らしい外観を実現できるということです。フォートナイトのゲームプレイ要素を取り入れ、革新的な方法で調整することで、それが可能となります」と語ります。
Verse が、これらの革新的なインタラクションの構築に不可欠であることがわかりました。チームはプログラミング言語を広範に使用して、UEFN ですぐに使用可能なゲームプレイ要素をつなぎ合わせました。
たとえば、「Master of Puppets」セクションでは、プレイヤーは音楽に合わせて 6 つの光のレールを滑らなければなりません。Verse は、プレイヤーがグラインドする場所の記録に使用されました。これを用いて、間違ったグラインドに対しては特定の VFX をトリガーし、正しいグラインドに対しては栄誉を与えるようなシステムにしました。
また、プレイヤーが驚くような要素を加えるために、Unreal の Niagara ビジュアル エフェクト システムが大いに活用されました。これにより、現実のコンサートでは実現できないようなエフェクトが作成されました。
Rogers 氏は、「音楽業界のクライアントと仕事をする場合、ステージ ショーを再現したいと言われることが多いのですが、私たちはそれ以上のものを打診します。現実世界のショーは、安全と健康に配慮したものでなくてはなりません。しかし、私たちが作るものにその心配はありません。必要に応じて、Niagara のツールをすべて 11 まで上げて、火を浴びるようなシーンを作ることもできます。水中にいるシーンや、宇宙を漂うシーンも作れます。アーティストと協力して、彼らに新しいツールセットとアイデアを打診できるときは、とてもやりがいを感じます」と語ります。
運転、火の玉、落雷から講堂を貫く立体的な光の柱まで、体験全体を通して Niagara が多用されています。
Atkins 氏は、「音楽体験をプロデュースする上で、Niagara はシーケンサーと並んでおそらく最も重要なツールだと言えます。Niagara を使用すると、コンサートにおける体験の核となるエフェクトと大仕掛けに関して、非常に多くのものを実現できるからです」と語ります。
複数プラットフォームでのプレイテスト
チームは、体験自体のデザインを超えて、UEFN での作業がプレイテストに関してさらなるパラダイム シフトをもたらしていることに気づきました。毎日、チーム全員がフォートナイトに参加し、最新バージョンのビルドをプレイしていました。Taylor 氏は、「何がうまくいっていて、何がうまくいっていないかについて率直に話し合いました。それにより、重点を置くべき最良の要素と、ゲームに盛り込むべき最も楽しい要素がすぐに判明しました」と語ります。Beardsall 氏のようにエンジニアリング側で働いている人にとって、UEFN でのプレイテストは驚くほど簡単でした。あらゆるものがすぐに使える状態にあり、即座に作業に移れたからです。
「UEFN で最も楽だと感じたことの 1 つは、サーバー インフラストラクチャをセットアップする必要がなかった点です。数十億人のユーザーによって実戦テストされた Epic のあらゆるものが、そのまま使用できました」と彼は語ります。
さらに、フォートナイトはさまざまなデバイスで動作するように最適化されていることから、異なるハードウェアでテストするのも簡単でした。
Atkins 氏は、「UEFN では、これらすべての異なるプラットフォームをプレビューすることができます。そのため、さまざまなデバイスでどのように表示されるかをすぐに把握できました。くわえて、すぐにデプロイできるのでハードウェア自体でもテストできました。これにより、さまざまなターゲット プラットフォームで機能がどのように見えるかをテストするための非常に密接なフィードバック ループを行うことができました」と語ります。
フォートナイトにおける音楽体験の未来
Atkins 氏は、特にゲームプレイに関して、仮想音楽体験の可能性はまだほんの一部しか引き出せていないと考えています。彼は、アーティストがこれらの体験を利用して、オーディエンスを自分たちの歌やアイデアの世界に導くような未来を思い描いています。「私にとっては、コンサートの体験を実現するだけでなく、アーティストが新しい表現方法だと感じられるような体験をどのように作り出すかを考えることが、このプロジェクトの最もやりがいのある部分です」と彼は言います。
彼は、音楽やビジュアルの創作と操作に使用する UEFN の Patchwork 仕掛けスイートにより、アーティストがこれらの体験を自ら作成できるようになると強調しています。
これには、McWilliams 氏も同意しています。彼女は、「Fuel. Fire. Fury.」がアーティストたちにバーチャル コンサートに挑戦するきっかけを与え、まったく異なるタイプの体験をもたらすと期待しています。
「このプロジェクトの大きな目標の 1 つは、人々にインスピレーションを与え、UEFN を使って何ができるかを示すことでした。バンドやアーティスト、個人が皆のために独自のコンテンツを作れるような世界になれば良いな、と考えています」と、彼女は語ります。