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「Village」のサンプル島の作り方を学びましょう
フォートナイトチーム
クリエイターの皆さん、こんにちは!
新しく登場したサンプル島「Village」が気になりますか? この島は、クリエイティブのツールセットやUEFNに実装される新機能の数々を紹介する場所です。Villageプロジェクトでの主な目標は、新しい機能を紹介することで、今までには思いつかなかった体験の着想を得てもらうことです。
この開発者ブログでは、「Village」の内容を詳しく見ていき、v28.00で(早期アクセス版として)リリースされた新規のカメラタイプとゲームプレイのコントロールにより、レベルデザインからゲームプレイに至るまで、作品制作上での選択肢がどのように広がるのかをご紹介します。
フォートナイト クリエイティブとUEFNにおける新たな取り組みとして始めていけたらと思っていますので、これからの展開をお楽しみに! というわけで、早速見ていきましょう!
Village (島のコード: 8374-6783-8370)
新しく追加されたカメラと操作の仕掛けを組み合わせて使うことで、画面上においてプレイヤーを新たな方法で映し出すことができ、新たな形のゲームプレイが実現できるようになります。このセクションでは、本プロジェクトで使用しているカメラと、その設定について解説します。
新しいカメラタイプのご紹介:

このカメラは、「Village」を始めたプレイヤーが最初に見ることになる視点です。このカメラ構成の目標は、見下ろしカメラに移行するお膳立てをすることと、「Village」におけるプレイヤー体験の雰囲気を明確にすることです。
イントロのメッセージを閉じるやいなや、カメラがパンして見下ろし視点に切り替わります。これで家の中が全て見えるようになり、中を動き回れるようになります。ここで定点カメラを使ったのは、スペースが狭く、家の外のスペースが必要以上に画面に映り込むことを避けたかったからです。

プレイヤーが家から出ると、家の中でのカメラよりも遠くに引いた固定角度のカメラに切り替わります。家にいる居心地の良さや安心感を保ちたかったので、カメラを遠くに引き過ぎないようにしています。

また、このカメラの境界設定を活用し、カメラが画面の左や下、あるいは垂直方向に行きすぎないようにしています(チキンを持ってジャンプし、自分の目で確かめてみましょう)。こうすることで、左に行っても大したものはないのだということをプレイヤーに伝えます。
設定:

プレイヤーが農場から出ると、カメラが引きます。プレイヤーは安全な家から飛び出し、世界を探検します。カメラをズームアウトさせるのは、アートとレベルデザインのチームが制作した美しい世界をよく見せるとともに、自由に世界を冒険するんだ、という感覚をプレイヤーに味わってもらうためです。
設定:

プレイヤーが村に通じる橋を渡り始めると、カメラがパンして横スクロール視点に切り替わります。ここでの狙いは、新登場のカメラと操作の仕掛けを使えば、横スクロールのゲームも作れるのだということを伝えることです。さらに、背景を利用して美しい光景をプレイヤーに楽しんでもらいます。
設定:

村のカメラは冒険用のカメラとほぼ同じです。村の居心地の良さを演出するため、カメラは少し近くに寄せています。ここでも、村の端を明確にするため上側と右側に境界を設定しています。また、境界はカメラが映す場所をプレイヤーに見せたいスペースだけに限定するのにも役立ちます。プレイヤーが見られないところにはアクタを配置せず、メモリを節約しましょう。
設定:

プレイヤーがペットショップの裏に移動したら、定点カメラに切り替えます。ここでの狙いは2つあります。チキンの小屋に焦点を当てる(プレイヤーはここまでチキンを届けることになります)ことと、ペットショップの裏にいるプレイヤーの視界を確保することです。ペットショップはかなり背が高いので、「村」カメラをそのまま使っていた場合、プレイヤーが建物の裏に入って自分がどこにいるかわからなくなる、ということが簡単に起きてしまいます。
このカメラは、村の中にある定点カメラの中で、唯一プレイヤーのトラッキングが有効になっています。村の会館の裏は狭いので、村の雰囲気を保ちつつもプレイヤーが動き回れるようにするには、このカメラがピッタリです。このエリアはプレイヤーが"発見"できるよう、意図的に"隠して"います。
プレイヤーがチキンの放牧場に入ると、カメラがパンし、少し下向きに傾きます。ここはチキン捕獲のミニゲーム専用のエリアです。視点をズームアウトし、カメラの見下ろしをより垂直にすることで、プレイヤーがチキンを視認しやすいようにしています。
設定:

プレイヤーがNPCに話しかけると、カメラが下にパンし、話しかけているNPCに寄ります。ここでの狙いは、キャラクターへの親近感を抱いてもらいつつ、村の建物を良く見せることです。

実は、最初は村のマップを楽しく見せる手段として制作していたのですが、プロジェクト全体をテーマとして表現する素晴らしいシーンを作り出せることに気づいたのです。ズームアウトし、村全体を映して、「Village」というテキストを表示させることで、プレイヤーがこの新たなコミュニティ体験の一部なのだと感じてもらいます。
カメラの設定に対応するため、カスタマイズした操作も村の各所に追加しました:
新たなカメラモードを用いる「Village」では、カメラの視点を存分に活用する形でレベルデザインにアプローチし、新しい視覚的要素を取り入れつつも、プレイヤーがワールド内を楽に移動できるようにしています。
Villageプロジェクトでは、様々な形でスケール(物の大きさ)に変化をつけています。Villageにおいて特定のビジュアルスタイルを実現したいのでスケールに変化をつけている場合もありますし、プレイヤーの大きさとゲームの世界とのバランスと、その中でプレイヤーがどのように移動するか、ということに合わせて変えている場合もあります。
フォートナイトの建築物と地形のスケールは、三人称の肩越し視点から見ることを想定してデザインされています。このため、全オブジェクトのサイズを調整する必要があったのです。アイソメトリック視点の村においては、建築物のサイズを50%ほど縮小しなければなりませんでした。
これは地形全体で使用した崖のアセットでも同様です。壁の場合、Z軸のサイズを50%にすると、プレイヤーの大きさと釣り合いが取れました。X軸については、その壁の目的に応じて縮小の度合いを調整しました。50%よりも幅広にしたものもあれば、50%以下に縮小したものもあります。
崖については、オブジェクト全体を50%縮小しました。この数値はプレイヤーの移動とジャンプに加えられた変更をもとにして決定しています。これにより、環境内を動き回るプレイヤーの移動力とジャンプ力がゲームプレイの仕組みに見合ったものになり、より複雑な地形を作成できるようになります。
屋内カメラはマイナス59°の角度に固定しています。カメラの鋭い角度に合わせ、建物の前面の壁を取り除き、プレイヤーの位置にかかわらず姿が常に見えるようにしました。家については、大半のオブジェクトを壁際に配置することで、プレイヤーが中央付近を自由に動けるようにしています。
店に関しては、家と同じように大半のオブジェクトを壁際に配置しています。また、店の中央にはシンプルなブロック状のオブジェクト(店の商品棚)を、プレイヤーが簡単に通り抜けられるような配置で追加しました。オブジェクトの背後にいる時にプレイヤーの姿が隠れてしまわないよう、高さは低めにしてあります。
もうひとつ注意しなければならないことは、ここでも固定カメラを使っていますが、店は家よりも大きいため、1つの視点から店の空間全体が見えるように調整する必要があったという点です。
ブロッキングボリュームがプレイ空間を取り囲んでいることには気が付いたでしょうか。ブロッキングボリュームは屋内でも使われていますが、屋外の方がわかりやすいでしょう。今回はUEFNで利用できるブロッキングボリュームのアクタを使い、バリアの仕掛けで作成できるものよりも複雑なボリュームを作成しました。
これらのボリュームでは、「FortPawnCapsule」の当たり判定のタイプを使用しています。これにより、プレイヤーはボリュームを通り抜けることはできませんが、カメラは問題なく通過できるようになっています。
新たなカメラ視点で見る初めての屋外は、家のすぐ外です。屋内と同じく、ここでの目標はプレイヤーがオブジェクトに引っかかることなく、開放的な大きいスペースの中で移動できるようにすることです。それを実現するため、オブジェクトの間にプレイヤーが通れそうな隙間があるように見える時には、実際に通れるように小道具を配置しました。プレイヤーに通ってほしくないという場合には、小道具とアセットを近づけて設置し、道をふさいでいます。
もう1つ注目すべき点は、農場のエリアはかなり狭いということです。カメラがプレイヤーに寄っていて、迷子になってしまう可能性があるため、エリアは狭くしてあります。プレイヤーが農場から出るとカメラが遠くに引き、環境をより遠くまで見渡せるようになるので、どこかへの道筋や、ワールド内での自分の位置を把握したりするのがもっと楽になります。
森では、もっとズームアウトした視点を使っています。この視点であれば、前景にオブジェクト、中景にプレイヤーを配置し、後景にさらにオブジェクトを配置することが可能です。これにより、ダイナミックかつ興味を引くビジュアルを作り、視差やカメラ視点を利用して隠しオブジェクトを追加できるようになります。
プレイヤーが森に入ってすぐのところで、その好例を見ることができます。背景の木々によって隠された道です。プレイヤーが森の先に進んでいくと視点がずれて、隠れた道が見えやすくなります。視差とカメラ視点を利用すれば、様々なトリックや面白いビジュアルを作り出すことができます。
ここで1つ注意したいのは、この視点で前景のオブジェクトを配置する際には、オブジェクトがプレイヤーに重なり過ぎないようにするという点です。気を付けないと、プレイヤーが迷子になったり、オブジェクトで完全に姿が見えなくなったりということが簡単に起きてしまいます。
プレイヤーが橋を渡り始めると、横スクロールのカメラ視点に切り替わります。ここでは2つのブロッキングボリュームを追加し、とても狭い通り道を作成しました。これにより、プレイヤーがデザインした道から外れることがなくなり、前景にオブジェクトを配置できるようにもなります。
村は一番大きなエリアです。ここでは、森で用いたものと、農場エリアで使ったものと同じデザインを利用しています。このエリアは非常に開放的で、一目見るだけで回り込んだり通り抜けたりできるのがすぐわかるオブジェクトがあり、前景にはカメラを横切る大量の木々が配置されています。
よりズームアウトした、アイソメトリック視点のカメラを使う際には、2つの注目点が画面上に同時に映るようにすることが大事です。映っているのが画面の端であっても構いません。こうすることで、プレイヤーは周囲の状況を把握し、移動しやすくなります。
村の中では、プレイヤーの姿が建物によって隠れてしまうことがあります。何故そうしたかというと、プレイヤーにチキンを使って屋根の上に跳び乗ってもらいたかったからです。このゲームプレイ要素が不要だという場合には、建物の後ろにブロッキングボリュームを追加するだけで、プレイヤーの姿が隠れるという問題は解決できます。これはゲームを制作する上では、何かを実現しようと思うと何かを犠牲にしないといけないこともあるということを示す好例です。
ライティングに関しては、屋外では時間帯を固定してシンプルに済ませ、屋内ではデイシーケンサーの仕掛けを使って微調整を行いました。また、水ツールの拡張を行ったので、クリエイターはUEFNで独自の水のマテリアルを作成できるようになりました。クリエイターが参考例として使えるよう、Villageのカスタム水マテリアルをリリースする予定です。
音楽に関しては、最近実装されたフォートナイト Patchworkの仕掛けを使い、インタラクティブなサウンドトラックを提供しています。プレイヤーが農場にいる時は、控え目な音楽が流れます。プレイヤーが外に出ると、ピアノの和音が追加され、より楽しい雰囲気を演出します。最後に、プレイヤーが村へと足を踏み入れると、ドラムの音が流れ始めます。
音楽のそれぞれの変化は、ボリュームの仕掛けからVerseのイベントを送信して、Patchworkの仕掛けの有効/無効を切り替えることで発生させています。Patchworkの仕掛けはどれも同じミュージックマネージャーの仕掛けを使っているので、移行時に音楽がズレてしまうことはありません。
音楽のバラエティに関しては、音符シーケンサーのページとステップモジュレーターを使い、様々な楽器を組み合わせることで増やしています。タイトルが表示されるときには、1度限りのスティンガーが流れるようになっており、これも背景音楽に同期しています。フォートナイトの体験でよく流れる電子シンセの音よりも、もっと落ち着いた音楽が良いという場合には、Patchworkを利用してみるといいでしょう。
この「Village」の解説で、あなた自身のフォートナイト体験のアイディアが刺激され、新しいカメラタイプやゲームプレイのコントロールの可能性を理解していただけたなら幸いです!
新しく登場したサンプル島「Village」が気になりますか? この島は、クリエイティブのツールセットやUEFNに実装される新機能の数々を紹介する場所です。Villageプロジェクトでの主な目標は、新しい機能を紹介することで、今までには思いつかなかった体験の着想を得てもらうことです。
この開発者ブログでは、「Village」の内容を詳しく見ていき、v28.00で(早期アクセス版として)リリースされた新規のカメラタイプとゲームプレイのコントロールにより、レベルデザインからゲームプレイに至るまで、作品制作上での選択肢がどのように広がるのかをご紹介します。
フォートナイト クリエイティブとUEFNにおける新たな取り組みとして始めていけたらと思っていますので、これからの展開をお楽しみに! というわけで、早速見ていきましょう!
Village (島のコード: 8374-6783-8370)
カメラ
新しく追加されたカメラと操作の仕掛けを組み合わせて使うことで、画面上においてプレイヤーを新たな方法で映し出すことができ、新たな形のゲームプレイが実現できるようになります。このセクションでは、本プロジェクトで使用しているカメラと、その設定について解説します。新しいカメラタイプのご紹介:
- カメラ: 固定角度の仕掛け
- 回転はしませんが、対象を追って移動できるゲームプレイカメラです。
- カメラ: 定点の仕掛け
- 移動はしませんが、回転して対象を映すことのできるゲームプレイカメラです。
イントロ(定点)

このカメラは、「Village」を始めたプレイヤーが最初に見ることになる視点です。このカメラ構成の目標は、見下ろしカメラに移行するお膳立てをすることと、「Village」におけるプレイヤー体験の雰囲気を明確にすることです。
屋内(定点)
イントロのメッセージを閉じるやいなや、カメラがパンして見下ろし視点に切り替わります。これで家の中が全て見えるようになり、中を動き回れるようになります。ここで定点カメラを使ったのは、スペースが狭く、家の外のスペースが必要以上に画面に映り込むことを避けたかったからです。
農場(固定角度)

プレイヤーが家から出ると、家の中でのカメラよりも遠くに引いた固定角度のカメラに切り替わります。家にいる居心地の良さや安心感を保ちたかったので、カメラを遠くに引き過ぎないようにしています。

また、このカメラの境界設定を活用し、カメラが画面の左や下、あるいは垂直方向に行きすぎないようにしています(チキンを持ってジャンプし、自分の目で確かめてみましょう)。こうすることで、左に行っても大したものはないのだということをプレイヤーに伝えます。
設定:

冒険(固定角度)

プレイヤーが農場から出ると、カメラが引きます。プレイヤーは安全な家から飛び出し、世界を探検します。カメラをズームアウトさせるのは、アートとレベルデザインのチームが制作した美しい世界をよく見せるとともに、自由に世界を冒険するんだ、という感覚をプレイヤーに味わってもらうためです。
設定:

橋(固定角度)

プレイヤーが村に通じる橋を渡り始めると、カメラがパンして横スクロール視点に切り替わります。ここでの狙いは、新登場のカメラと操作の仕掛けを使えば、横スクロールのゲームも作れるのだということを伝えることです。さらに、背景を利用して美しい光景をプレイヤーに楽しんでもらいます。
設定:

村(固定角度)

村のカメラは冒険用のカメラとほぼ同じです。村の居心地の良さを演出するため、カメラは少し近くに寄せています。ここでも、村の端を明確にするため上側と右側に境界を設定しています。また、境界はカメラが映す場所をプレイヤーに見せたいスペースだけに限定するのにも役立ちます。プレイヤーが見られないところにはアクタを配置せず、メモリを節約しましょう。
設定:

ペットショップの裏(定点)

プレイヤーがペットショップの裏に移動したら、定点カメラに切り替えます。ここでの狙いは2つあります。チキンの小屋に焦点を当てる(プレイヤーはここまでチキンを届けることになります)ことと、ペットショップの裏にいるプレイヤーの視界を確保することです。ペットショップはかなり背が高いので、「村」カメラをそのまま使っていた場合、プレイヤーが建物の裏に入って自分がどこにいるかわからなくなる、ということが簡単に起きてしまいます。
村の図書館の裏(定点)
このカメラは、村の中にある定点カメラの中で、唯一プレイヤーのトラッキングが有効になっています。村の会館の裏は狭いので、村の雰囲気を保ちつつもプレイヤーが動き回れるようにするには、このカメラがピッタリです。このエリアはプレイヤーが"発見"できるよう、意図的に"隠して"います。
チキンの放牧場(固定角度)
プレイヤーがチキンの放牧場に入ると、カメラがパンし、少し下向きに傾きます。ここはチキン捕獲のミニゲーム専用のエリアです。視点をズームアウトし、カメラの見下ろしをより垂直にすることで、プレイヤーがチキンを視認しやすいようにしています。設定:

会話(定点)

プレイヤーがNPCに話しかけると、カメラが下にパンし、話しかけているNPCに寄ります。ここでの狙いは、キャラクターへの親近感を抱いてもらいつつ、村の建物を良く見せることです。
タイトル(定点)

実は、最初は村のマップを楽しく見せる手段として制作していたのですが、プロジェクト全体をテーマとして表現する素晴らしいシーンを作り出せることに気づいたのです。ズームアウトし、村全体を映して、「Village」というテキストを表示させることで、プレイヤーがこの新たなコミュニティ体験の一部なのだと感じてもらいます。
操作モード
カメラの設定に対応するため、カスタマイズした操作も村の各所に追加しました:
- 操作: 三人称視点の仕掛け
- カメラから独立してキャラクターを操作できるようにします。
- 屋内: 家の中は狭いので、プレイヤーの動きを少し遅くしています。それ以外の設定は仕掛けのデフォルトのままです。
- 村: ここでは操作の仕掛けのデフォルト設定をそのまま使っています。移動スピードと回転率の設定はデフォルトのままでも気持ちよくキャラクターを操作できます。
- 冒険: このカメラでは、プレイヤーの移動速度をほんの少しだけ遅くし、村までの道のりをじっくりと楽しめるようにしています。
- チキンの放牧場: ここではプレイヤーのスピードを少し速くし、チキンを捕まえやすくします。
レベルデザイン
新たなカメラモードを用いる「Village」では、カメラの視点を存分に活用する形でレベルデザインにアプローチし、新しい視覚的要素を取り入れつつも、プレイヤーがワールド内を楽に移動できるようにしています。
スケール
Villageプロジェクトでは、様々な形でスケール(物の大きさ)に変化をつけています。Villageにおいて特定のビジュアルスタイルを実現したいのでスケールに変化をつけている場合もありますし、プレイヤーの大きさとゲームの世界とのバランスと、その中でプレイヤーがどのように移動するか、ということに合わせて変えている場合もあります。
アイソメトリック視点でのスケール
フォートナイトの建築物と地形のスケールは、三人称の肩越し視点から見ることを想定してデザインされています。このため、全オブジェクトのサイズを調整する必要があったのです。アイソメトリック視点の村においては、建築物のサイズを50%ほど縮小しなければなりませんでした。これは地形全体で使用した崖のアセットでも同様です。壁の場合、Z軸のサイズを50%にすると、プレイヤーの大きさと釣り合いが取れました。X軸については、その壁の目的に応じて縮小の度合いを調整しました。50%よりも幅広にしたものもあれば、50%以下に縮小したものもあります。
崖については、オブジェクト全体を50%縮小しました。この数値はプレイヤーの移動とジャンプに加えられた変更をもとにして決定しています。これにより、環境内を動き回るプレイヤーの移動力とジャンプ力がゲームプレイの仕組みに見合ったものになり、より複雑な地形を作成できるようになります。
屋内のレベルデザイン
屋内カメラはマイナス59°の角度に固定しています。カメラの鋭い角度に合わせ、建物の前面の壁を取り除き、プレイヤーの位置にかかわらず姿が常に見えるようにしました。家については、大半のオブジェクトを壁際に配置することで、プレイヤーが中央付近を自由に動けるようにしています。店に関しては、家と同じように大半のオブジェクトを壁際に配置しています。また、店の中央にはシンプルなブロック状のオブジェクト(店の商品棚)を、プレイヤーが簡単に通り抜けられるような配置で追加しました。オブジェクトの背後にいる時にプレイヤーの姿が隠れてしまわないよう、高さは低めにしてあります。
もうひとつ注意しなければならないことは、ここでも固定カメラを使っていますが、店は家よりも大きいため、1つの視点から店の空間全体が見えるように調整する必要があったという点です。
ブロッキングボリューム
ブロッキングボリュームがプレイ空間を取り囲んでいることには気が付いたでしょうか。ブロッキングボリュームは屋内でも使われていますが、屋外の方がわかりやすいでしょう。今回はUEFNで利用できるブロッキングボリュームのアクタを使い、バリアの仕掛けで作成できるものよりも複雑なボリュームを作成しました。これらのボリュームでは、「FortPawnCapsule」の当たり判定のタイプを使用しています。これにより、プレイヤーはボリュームを通り抜けることはできませんが、カメラは問題なく通過できるようになっています。
農場
新たなカメラ視点で見る初めての屋外は、家のすぐ外です。屋内と同じく、ここでの目標はプレイヤーがオブジェクトに引っかかることなく、開放的な大きいスペースの中で移動できるようにすることです。それを実現するため、オブジェクトの間にプレイヤーが通れそうな隙間があるように見える時には、実際に通れるように小道具を配置しました。プレイヤーに通ってほしくないという場合には、小道具とアセットを近づけて設置し、道をふさいでいます。もう1つ注目すべき点は、農場のエリアはかなり狭いということです。カメラがプレイヤーに寄っていて、迷子になってしまう可能性があるため、エリアは狭くしてあります。プレイヤーが農場から出るとカメラが遠くに引き、環境をより遠くまで見渡せるようになるので、どこかへの道筋や、ワールド内での自分の位置を把握したりするのがもっと楽になります。
森
森では、もっとズームアウトした視点を使っています。この視点であれば、前景にオブジェクト、中景にプレイヤーを配置し、後景にさらにオブジェクトを配置することが可能です。これにより、ダイナミックかつ興味を引くビジュアルを作り、視差やカメラ視点を利用して隠しオブジェクトを追加できるようになります。プレイヤーが森に入ってすぐのところで、その好例を見ることができます。背景の木々によって隠された道です。プレイヤーが森の先に進んでいくと視点がずれて、隠れた道が見えやすくなります。視差とカメラ視点を利用すれば、様々なトリックや面白いビジュアルを作り出すことができます。
ここで1つ注意したいのは、この視点で前景のオブジェクトを配置する際には、オブジェクトがプレイヤーに重なり過ぎないようにするという点です。気を付けないと、プレイヤーが迷子になったり、オブジェクトで完全に姿が見えなくなったりということが簡単に起きてしまいます。
橋
プレイヤーが橋を渡り始めると、横スクロールのカメラ視点に切り替わります。ここでは2つのブロッキングボリュームを追加し、とても狭い通り道を作成しました。これにより、プレイヤーがデザインした道から外れることがなくなり、前景にオブジェクトを配置できるようにもなります。
村
村は一番大きなエリアです。ここでは、森で用いたものと、農場エリアで使ったものと同じデザインを利用しています。このエリアは非常に開放的で、一目見るだけで回り込んだり通り抜けたりできるのがすぐわかるオブジェクトがあり、前景にはカメラを横切る大量の木々が配置されています。よりズームアウトした、アイソメトリック視点のカメラを使う際には、2つの注目点が画面上に同時に映るようにすることが大事です。映っているのが画面の端であっても構いません。こうすることで、プレイヤーは周囲の状況を把握し、移動しやすくなります。
村の中では、プレイヤーの姿が建物によって隠れてしまうことがあります。何故そうしたかというと、プレイヤーにチキンを使って屋根の上に跳び乗ってもらいたかったからです。このゲームプレイ要素が不要だという場合には、建物の後ろにブロッキングボリュームを追加するだけで、プレイヤーの姿が隠れるという問題は解決できます。これはゲームを制作する上では、何かを実現しようと思うと何かを犠牲にしないといけないこともあるということを示す好例です。
アート
ライティングに関しては、屋外では時間帯を固定してシンプルに済ませ、屋内ではデイシーケンサーの仕掛けを使って微調整を行いました。また、水ツールの拡張を行ったので、クリエイターはUEFNで独自の水のマテリアルを作成できるようになりました。クリエイターが参考例として使えるよう、Villageのカスタム水マテリアルをリリースする予定です。
オーディオ
音楽に関しては、最近実装されたフォートナイト Patchworkの仕掛けを使い、インタラクティブなサウンドトラックを提供しています。プレイヤーが農場にいる時は、控え目な音楽が流れます。プレイヤーが外に出ると、ピアノの和音が追加され、より楽しい雰囲気を演出します。最後に、プレイヤーが村へと足を踏み入れると、ドラムの音が流れ始めます。音楽のそれぞれの変化は、ボリュームの仕掛けからVerseのイベントを送信して、Patchworkの仕掛けの有効/無効を切り替えることで発生させています。Patchworkの仕掛けはどれも同じミュージックマネージャーの仕掛けを使っているので、移行時に音楽がズレてしまうことはありません。
音楽のバラエティに関しては、音符シーケンサーのページとステップモジュレーターを使い、様々な楽器を組み合わせることで増やしています。タイトルが表示されるときには、1度限りのスティンガーが流れるようになっており、これも背景音楽に同期しています。フォートナイトの体験でよく流れる電子シンセの音よりも、もっと落ち着いた音楽が良いという場合には、Patchworkを利用してみるといいでしょう。
この「Village」の解説で、あなた自身のフォートナイト体験のアイディアが刺激され、新しいカメラタイプやゲームプレイのコントロールの可能性を理解していただけたなら幸いです!